20253/26
2025年3月26日

三寒四温。春めいてきたな、と感じるとともに、夕方以降は急に寒くなったりなど、気温差が激しい季節。人と同じようにペットも体調を崩しがちになります。そんな毎日の健康管理にハーブを用いてみましょう。「ペットにハーブに与えてもいいの?」と思った方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。
目次
ハーブをペットに与えていいの?

「犬にハーブを食べさせてもいいの!?」と驚く方もいるかもしれません。
しかし、そもそもハーブとは「薬効のある植物」を総称したもののことです。もともと野生動物である犬は本能的にその薬効を体が知っているので、具合が悪い時や身体の浄化力を高めたい時などに、自然にハーブを食べることがあります。
しかし、道端に生えている草は除草剤が撒かれていたり、かぶれたりする可能性のある草があるので注意が必要です。

そこで、安心な人用のハーブを日常的にワンちゃんの食事にも取り入れてみてはいかがでしょうか。ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富なだけでなく、お腹の調子を整えたり、老廃物を排出する効能まであることが研究結果で分かっています。
上手に使えば、ワンちゃんの毎日の健康維持に役立ちます。道端や庭の草を食べたくなる前に、飼い主さんが管理できるフレッシュなハーブを与える方法はおすすめです。
健康管理に役立つハーブ4種

動物病院は一般的に西洋医学を主体としていますが、ちょっとした不調や術後のケアなど西洋医学だけではカバーできない部分や病気があります。そうした西洋医学の補助としてハーブや漢方を使い、より健康にするためのアプローチを行う動物病院も増えています。
さて、ここからは、わんちゃんの健康維持のためにオススメのハーブを4種ご紹介します。
ホーステール(スギナ)
ホーステールは日本で“スギナ”と呼ばれている、ツクシの茎部です。ユーラシア方面で、古くから伝統医療・民間療法の中で使用されてきたハーブです。特に泌尿器系トラブルや止血用としてよく用いられていました。このハーブの最大の特徴は「シリカ(ケイ素)」を多く含んでいることです。近年ではアンチエイジングとしても、期待度がUPされています。
「シリカ(ケイ素)」は骨や皮膚や爪の再生を手助けし、臓器を健康に保つのに欠かせない成分ですが、年齢が高くなるにつれ、少しずつ体から減っていきます。ハーブを使って、上手にケイ素を取り入れましょう。
(心臓・腎臓・泌尿器に病歴があるワンちゃんは、獣医さんとご相談の上使用してください。)
ネトルリーフ
ヒスタミンや鉄分、ビタミンCなど高い栄養効果で注目されている「ネトル」。人ではハーブティー用のドライハーブが一般的ですが、精油、サプリメント、コーディアル(シロップ)などの形態で利用している人も増えています。
高い抗酸化作用を持ち、各種ポリフェノールを含みますので、免疫力のアップや、貧血、デトックスに役立ちます。また、血液をきれいにしたり、炎症を沈めてくれる働きがあるといわれています。
(※腎不全のワンちゃんは、獣医さんとご相談上使用してください。)

ダンデリオンリーフ(西洋タンポポの葉)
ダンデリオンリーフは、肝臓や胆のうに効果のあるハーブとして知られています。日本でも古くから健胃剤、利胆剤、緩下剤、催乳剤として利用されてきました。体の浄化力が高まり、二日酔いや肌荒れにも有効です。
腸内環境を整えるので、便秘にも役立ちます。利尿作用によってさらにむくみを緩和してくれます。利尿作用を期待する場合は、カリウムが多い葉を使用します。体の毒素や老廃物を体外に排出するデトックス作用があると言われているハーブです。
ローズヒップ
ビタミンCがレモンの20~40倍含まれています。そのため、「ビタミンCの爆弾」とも言われています。ビタミンCは疲労回復にくわえ、つややかな皮膚の維持や免疫力UP効果があると言われています。
虫よけにもお役立ち

ラベンダーやユーカリなど、私たち人にもなじみの深いハーブ。これらのハーブはワンちゃんにも安全な虫よけとしても効果があります。また、市販のものはちょっと不安で…という方は、家庭菜園などで簡単にできる無農薬のハーブを使い、成分を抽出した「手作り虫よけスプレー」を携帯ボトルにしのばせて虫よけ対策。ワンちゃんの粘膜以外に使えます。
ときめく春。各地のスポットや公園、カフェもワンちゃんウェルカムなお店が増えてきました。人ごみや花粉で崩しがちな体調や、春の虫よけを、オーガニックハーブで管理してみてはいかがでしょうか。
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<参考文献>
・Why Dogs Eat Grass—a Myth Debunked
・Herbs for Pets ペットのためのハーブ大百科 SECOND EDETION グレゴリー・L・ティルフォード、メアリー・L・ウルフ著
・Using Chamomile Solution or a 1% Topical Hydrocortisone Ointment in the Management of Peristomal Skin Lesions in Colostomy Patients: Results of a Controlled Clinical Study
・Using Chamomile Solution or a 1% Topical Hydrocortisone Ointment in the Management of Peristomal Skin Lesions in Colostomy Patients: Results of a Controlled Clinical Study
・日経メディカル開発 「漢方薬使用実態・意識調査2010」
・ペットの心身の健康に主体的に関わる~ホリスティックケア~ 第2回 ハーブでペットの体調管理
・漢方医学と西洋医学の融合 漢方のツムラ
・乳酸菌及びハーブ等含有カプセルの経口摂取による肥満及び腸内細菌叢への影響に関して 株式会社NatureLab
・日本ホリスティック獣医師協会 ホリスティツク獣医療について
・葉山どうぶつ病院の中獣医学療法とその他の自然療法
・太陽化学株式会社 鉄分を効率よく摂取するために
・ビタミンの役割と要求量 ペット栄養学会誌
・イヌにおける副流煙曝露に対する抗酸化サプリメントの有用性 ペット栄養学会誌
・椎間板疾患および心内膜症を好発する品種のイヌにおける血漿 中ビタミンC濃度 ペット栄養学会誌
~書き手~
岩井 ゆかり
日本初・ウェディング専門ペットシッター銀座INPET代表。ペット業界で培った20年あまりの経験を活かし、人とペットの豊かな共生に向けて情報発信をしている。著書に「育犬ノイローゼかな?と思ったら読む本~しつけの悩みを解消して子犬との楽しい日々を取り戻すコツ~」などがある。
≪保有資格≫犬猫行動アナリスト、JKC公認訓練士、JKC公認トリマーA級、ペット栄養管理士